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ひとり時間帳

ノリでノマドワーカーとか始めてしまい、痛い目にあっているところ。


M-1が復活するらしいけど、あんなオワコンを繰り返すなんて悲しすぎる

M-1完全読本 2001-2010 (ヨシモトブックス)


テレビ朝日で10回ほど放送した漫才の祭典「M-1グランプリ」が復活するらしい。

2010年にいったん終了したM‐1が、「新生 M‐1グランプリ」として復活する。開催時期は来年夏を予定。今秋には詳細を決め、発表する予定という。

同局はこの日、「当時のM‐1は日本を代表する演芸イベントであり、最終年となった2010年には5000組の方々にエントリーしていただきました。エントリーを目指す皆さまには、1年かけて新生『M‐1グランプリ』のためのネタを準備していただきたい」とし、「プロ、アマを問わず最高のネタを披露してください」としている。

「M-1グランプリ」が来夏にも復活 紳助さんの出演はなし (デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース

 
M-1グランプリは昨今のバラエティ番組のスターを生み出してきた。本来は、漫才の頂点を決める大会なのだけど、実際はスターの切符争奪戦になっていたのが実情。

視聴者も、本格漫才のぶつかり合いが見たいというよりも、新スターの誕生を楽しみにしていた。事実、笑い飯、千鳥、南海キャンディーズ、アンタッチャブル、ブラックマヨネーズ、チュートリアルなど、それまで(一部のお笑いファンは除いて)無名だった芸人の顔と名前が知れるようになったのもこの大会がキッカケだ。


では、来年、再びM-1が開催されれば、またニュースターが生まれるのか?

いやいや、そんなに上手くはいかない。ハッキリ言ってM-1なんてオワコンだ。

 
2014年、知名度が急上昇したウーマンラッシュアワー。彼らはM-1が終了したあと、フジテレビが開催しているTHE MANZAIで優勝したことでブレイクした……ことになっている。

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事実として、彼らはTHE MANZAI 2013でタイトルを獲り、その後レギュラー番組も増えている。特にボケの村本氏はゲスキャラが定着し、テレビの露出も多い。

でも、彼らがテレビで漫才を披露している姿はほとんど見ない。

それは、ウーマンラッシュアワーに限らず、過去のM-1チャンピオンも同じこと。

本来、漫才が面白いとテレビで評価されたのなら、その最大の武器である「漫才」の需要がテレビで上昇しなければおかしい。昔、B&Bやツービートが活躍していた漫才ブームの頃は、テレビで漫才だけを何度も放送していた。今では考えられないけれど、実際そういう時代があった。その頃は本当に漫才が求められていたんだと思う。

でも今は違う。

M-1で鋭いツッコミを見せていた芸人も、なぜかリアクション芸をやらされたり過酷なロケを体験させられる。チュートリアルは徳井氏の過剰な妄想劇がスバラシイ漫才になっていたが、バラエティでそういう使われ方をしているのをほとんど見たことが無い。

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では、芸人が、M-1やTHE MANZAIを獲ったら何が起こるのか?

大人達が動き出すのだ。


タイトルを獲った芸人を、芸能プロダクションや、各テレビ局の権威ある人達がバラエティタレントへとシフトさせる。急に動き出す大人達の思惑と、本人達の技量、世の中の流れが全部上手くいった時のみ、旬な芸人となってブレイクできる。


残念ながら、過去にM-1チャンピオンは10組。THE MANZAIチャンピオンは3組もいる(パンクブーブーは両タイトルを獲っている)のに、優勝後、そのまま波に乗って大ブレイクできた芸人はそんなにいない。本当に、ブラマヨ、チュートの2組だけ。ウーマンラッシュアワーがどうなるかと、いったところ。

アンタッチャブルは優勝した時には、既にバラエティに引っ張りだこだった。今やMCを務めるほどの、おぎやはぎやタカトシは、M-1最高成績4位。南海キャンディーズは準優勝でブレイクし、その後8位や9位と惨敗してしまっている。

フット後藤氏は、M-1優勝後にブレイクできなかったが、その後バラエティで踏ん張りを見せ、今の輝きがある。NON STYLEはM-1優勝後はブレイクできなかったが、井上氏のウザキャラで世間から認知された。


賢い芸人は、こんな当たり前のことに当然気付いている。
自分たちが売れるために、どうすべきかを考えて、漫才大会を利用してきた。

南海キャンディーズは、異様なキャラクターでM-1に登場し、巨人女で口の悪い「しずちゃん」というキャラクターを自らの漫才の中に織り込んだ。あの漫才を見た業界人は、しずちゃんを番組に呼ぼうと画策する。テレビディレクターやプロデューサーにとっては、南海キャンディーズの漫才がスベっていても、オファーしたはずだ。

結果、準優勝だった南海キャンディーズはブレイクした。

ウーマンラッシュアワーもそうだ。
2013年のTHE MANZAIでは、早口の村本氏が、相方をおとしいれる漫才を披露し、自身の性格の悪さを漫才の中に織り込んだ。結果として優勝したが、きっと優勝していなくてもテレビの露出は増えていたと思う。

ちなみに、ウーマンラッシュアワーは2011年、2012年も決勝進出していたが、その時に披露したのは「よくできてる漫才」だった。漫才の批評をするつもりはないが、個人的には、2011年の漫才の方が優勝時よりも出来は良かったと思う。でも、それでは大人は動かせなかった。



結局のところ、M-1は漫才大会という形をとりながら、そこには大人達の思惑がギシギシと詰め込まれている。真っ正面に、舞台の客を笑わせる「漫才」だけを磨いていたのでは優勝してもブレイクできない可能性の方が高い。

腕のある芸人の漫才を本当に見たいなら、歴代のM-1ファイナリストを集めて、定期的に漫才番組をやった方がよほど需要がある。そこにミニ枠として、ニュースターも放り込めば良いだけのこと。

M-1に出てる芸人は、皆面白い。腕もあるしスバラシイと思う。でも、本当に必要とされているのは『よくできた漫才』ではなく、『目新しいキャラ』だというのはあまりにも悲しい。

だったらもっと他の形で、芸人がブレイクできるキッカケを作った方が良いのではないか。M-1復活というのは、あまりにもコンテンツ制作者として怠慢だと思う。